断熱欠損とは?起こりやすい場所と原因、施工時に確認したいポイント
こんにちは!MU設備です。
「断熱材を入れているのに、冬になると壁際が寒い」
「施工中の断熱材に隙間が見えるけれど、このままで大丈夫?」
住宅の断熱性能について調べる中で、こうした疑問を持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか。
高性能な断熱材を使っていても、必要な場所に隙間があったり、設計で定めた厚さを確保できていなかったりすると、期待した性能を発揮できないことがありまして、その原因の一つが、断熱欠損です。
ただし、住宅が寒いからといって、必ず断熱欠損があるとは限りません。
窓の性能や隙間から入る外気、暖房の使い方なども関係するため、原因を分けて考えることが大切になります。
そこで、この記事では断熱欠損が起こりやすい場所と施工時の注意点、完成後の確認方法について、気密不良との違いも含めて解説します。
★株式会社如月建設様のYouTubeでMU設備の気密測定をご紹介いただきました★
断熱欠損とは断熱性能が部分的に不足している状態

断熱欠損とは、本来必要な断熱材が入っていない、途中で途切れているなどの理由で、部分的に断熱性能が不足している状態を指します。
たとえば、柱と断熱材の間に隙間が残っていたり、配管を通すために切り取った部分がそのままになっていたりすると、その部分が熱の出入りしやすい箇所になるということですが、断熱材は、住宅の断熱範囲を連続して覆うように施工してこそ、その役割を果たします。
そのため、材料の性能だけでなく、必要な場所に、必要な厚さで施工されているかまで確認しなければなりません。
断熱材が入っていれば安心とは限らない
現場の写真を見て「断熱材が入っているから大丈夫」と思っても、奥の方に空間が残っていたり、障害物のまわりで押しつぶされていたりする場合があります。
特にグラスウールなどの繊維系断熱材は、狭い部分へ無理に押し込むと、必要な厚さを確保できないことも。
表面だけを整えても、内部まで適切に施工されているとは限らないため、寸法や納まりに合わせた施工が重要です。
ここで見たいのは、単に断熱材の有無ではなく、設計どおりの断熱層ができているかという点です。
断熱欠損と熱橋はどう違う?
断熱欠損と似た話として、「熱橋」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
熱橋は、周囲よりも熱を伝えやすい部分のことで、ヒートブリッジとも呼ばれます。たとえば、断熱材に比べて熱を伝えやすい構造部材が、熱の通り道になる場合が該当します。
断熱欠損によって熱が逃げやすくなることもありますが、熱橋があることを、そのまま断熱材の入れ忘れや施工不良と判断することはできません。
材料の性質や構造によって生じる部分もあるため、設計上の対策と実際の施工状態を分けて確認しましょう。
断熱欠損があると住宅にどのような影響が出る?

断熱欠損の影響は、発生した場所や範囲、室内外の温度差などによって変わります。
小さな隙間があるだけで住宅全体の性能が失われるわけではありませんが、見えなくなる前に確認しておきたい部分です。
詳しく見ていきましょう。
壁際や床の一部で寒さを感じることがある
冬は、断熱が不足している部分から熱が逃げやすくなるため、壁や床の表面温度が周囲より低くなる場合があります。
「室温は上がっているのに、特定の壁際だけ寒く感じる・・・。」
そのような場合には、局所的な断熱不足が関係している可能性も考えられるでしょう。
ただし、窓からの冷気や漏気などでも似た感覚が生じるため、体感だけで断熱欠損と決めつけるのは早計です。
冷暖房の効率に影響する
断熱が不足している部分は熱の出入りが増えるため、室温を保つために必要な冷暖房の負担が大きくなることがあります。
とはいえ、光熱費の増減には設備の性能や使用時間、天候なども関係します。
「電気代が高いから断熱欠損がある」とは判断せず、建物と設備の両方を確認することが大切です。
条件によっては結露につながる
冬に断熱欠損部分の室内側表面温度が下がると、室内の湿度などの条件によっては、その部分に結露が生じることがあります。
一方、壁の内部で起こる結露には、水蒸気の移動や防湿層の状態、壁の構成なども関係するため、断熱材を足せばすべて解決するというものではありません。
断熱と防湿、気密は、それぞれの役割を踏まえて確認する必要があります。
断熱欠損が起こりやすい場所

ここからは、施工時に注意したい場所を見ていきましょう。
共通するのは、断熱材をそのまま入れにくい部分や、部材同士が接する部分です。
広く平らな面だけでなく、細かな納まりまで確認できるかがポイントになります。
配管・配線・コンセントボックスのまわり
外壁の内部には、電気配線やコンセントボックスなどが納まる箇所があり、これらを避けるために断熱材を大きく切り取りすぎると、周囲に空間が残る場合があるので注意が必要です。
ボックスの手前に断熱材が見えていても、背面や側面まで適切に施工されているかは別の話。
設備の配置と断熱材の厚さを踏まえ、必要な断熱性能を確保できる納まりにすることが求められますし、断熱材の処理に加え、貫通する防湿・気密層の処理も確認したいところです。
断熱材を入れる作業と、空気や水蒸気の通り道を処理する作業は、それぞれ確認してください。
筋交いや下地材がある部分
筋交いや下地材がある場所は、断熱材を単純にはめ込むだけでは納まりにくい部分です。
障害物の形に合わせず押し込むと、断熱材が偏ったり、裏側に隙間ができたりする可能性があるため、使用する材料の施工方法に従い、必要な切り込みや加工を行いながら納めることが基本。
見える面だけで判断せず、部材の裏側や交差部分まで確認することが重要です。
壁と天井、屋根が接する部分
壁と天井の境目や、屋根の形が変わる部分などは、断熱層のつながりを確認したい箇所です。
特に、作業する空間が狭い場所では、手前から見ただけでは奥の状態を把握しにくいこともあるでしょう。
天井断熱の場合は、天井面の断熱材を隙間なく施工し、吊り木などの障害物まわりも適切に納める必要がある一方、屋根断熱では確認する位置が変わるため、まず図面で断熱範囲を把握しておきましょう。
床下の断熱材と、その周囲
床断熱の住宅では、床下側の断熱材に隙間やずれがないかも確認したいポイントです。
配管が通る箇所や床の端部などは、形状に合わせた処理が必要になります。
ただし、基礎断熱を採用している住宅では、床下を含めて断熱する設計もあるため、床の裏に断熱材がないことだけで欠損とは判断できません。
どこで断熱する計画なのかを確認したうえで、現場の状態と照らし合わせることが先決です。
断熱欠損を防ぐために、施工中に確認したいこと

断熱欠損を防ぐには、断熱材を施工した直後だけでなく、その後の工程まで含めて確認することが大切です。
断熱範囲と細部の納まりを共有する
まずは、床・壁・天井・屋根のどこを断熱するのか、図面で整理しましょう。
特に浴室まわりや下屋、配管が集中する場所などは、誰がどの工程で施工するかを曖昧にしないことが重要ですし、担当する工事が分かれている部分ほど、引き継ぎの際に確認する価値があります。
そのため、現場で納まりを変更する場合も、断熱層が途切れないか、防湿・気密層とどう接続するかまで合わせて検討してください。
使用する断熱材に合った施工方法を守る
断熱材は種類によって、加工や固定、継ぎ目の処理方法が異なります。
そのため、「隙間に何かを詰めればよい」と考えるのではなく、採用した製品や工法に合った方法で納めることが基本です。必要な厚さや施工条件を確認し、別の材料を組み合わせる場合には、その適合性も確かめましょう。
断熱材の種類を変えることと、施工状態を改善することは別の話です。
高性能な材料へ変更しても、必要な部分に隙間が残れば、設計どおりの性能を期待しにくくなるため注意してください。
設備工事の後にも確認する
断熱材を適切に施工していても、その後の配線・配管工事などで動かした部分があれば、元どおりに納まっているかを確認する必要があります。
「断熱工事が終わった時点では問題がなかった」というだけでは、最終的な状態までは分かりません。
内装で隠す前に関係する工事の完了状況を確認し、手を加えた箇所を見直す工程を設けておくと、確認漏れを減らしやすくなります。
写真は全体と細部の両方を残す
施工写真を残す場合は、部屋全体の写真に加えて、配管まわりや取り合い部分などの詳細も撮影しておきましょう。
近接写真だけでは場所が分からず、全景だけでは細かな隙間を判断しにくいため、撮影位置が分かる記録と組み合わせるのがおすすめです。
ただし、写真に写っていない奥の部分まで確認できるわけではありません。
写真は現場確認を補う資料として活用し、必要な箇所は仕上げ前に直接確認することが大切です。
完成後の住宅で断熱欠損を調べる方法
すでに住んでいる住宅でも、図面や施工記録、現場の状況を組み合わせて確認する方法があります。
ただし、壁や天井で隠れている部分が多いため、施工中と同じようにすべてを目視できるわけではありません。
図面と施工写真を確認する
最初に確認したいのは、住宅の断熱仕様と施工記録です。
断熱材の種類や厚さ、施工する範囲を把握したうえで、寒さを感じる場所と照らし合わせると、調査する箇所を整理しやすくなります。
施工写真がある場合は、問題を感じる部屋だけでなく、その上の小屋裏や下の床下がどのように施工されているかも確認してみてください。
点検口から見える範囲を調べる
床下や小屋裏に点検口があれば、そこから確認できる場合もありますが、見える範囲や作業できる範囲は住宅によって異なります。
狭い空間で無理に移動すると、配線や配管、天井材などを傷めるおそれもあるため、奥まで入って確認する必要がある場合は、施工会社や調査を行う専門業者へ相談しましょう。
サーモグラフィで表面温度の違いを確認する
サーモグラフィは、壁や天井などの表面温度を画像で確認する機器です。断熱が不足している可能性のある場所を絞り込む手段として活用できます。
ただし、壁の中の断熱材を直接透かして見ているわけではなく、室内外の温度差や日射、空調などの影響を受けます。
画像の色が違うだけで、断熱欠損と断定することはできません。
図面や現場の状況と照らし合わせ、必要に応じて追加調査を行うことが大切です。
断熱欠損と気密不良は、分けて確認することが大切
断熱欠損について調べていると、「気密測定をすれば分かるのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、気密測定は、断熱材の厚さや欠損を直接調べる検査ではありません。
断熱欠損は、断熱層が部分的に不足している問題。一方の気密欠損は、気密層の隙間などを通じて空気が出入りする問題です。
そのため、同じ配管まわりなどで両方の問題が起こる可能性はありますが、どちらか一方だけが生じる場合もあります。
C値が良くても、断熱欠損がないとは限らない
気密測定で得られるC値は、住宅の隙間量を表す指標です。
たとえば、断熱材の一部が不足していても、その室内側の気密層が連続していれば、断熱材の不足がC値にそのまま表れるわけではありません。
そのため、「C値が良いから、断熱施工もすべて問題ない」と判断しないことが大切です。
反対に、断熱材が適切に施工されていても、気密層に隙間が残っていれば、漏気の確認や改善が必要になる場合があります。
断熱施工の確認と気密測定を組み合わせる
住宅の施工状態を確かめるには、それぞれの確認方法が何を調べるものなのかを理解しておきましょう。
断熱材の位置や厚さ、隙間は、図面と施工中の目視確認などで確かめます。
そのうえで気密測定を行えば、住宅全体の気密性能を把握し、測定時に漏気箇所を探すこともできます。
ただし、断熱材が見える工程と、気密測定が可能になる工程は、必ずしも同じではありません。
何を、どの工程で確認するかを事前に決めておくことが、確認漏れの防止につながります。
MU設備の事例をご紹介
ではここでMU設備が計測した事例をご紹介します。
兵庫県神戸市の木造2階建て住宅で行った中間気密測定では、屋根まわりの野地板と外部合板の間から漏気を確認しました。


外側で気密層を連続させる施工が行われていたものの、接続部分に空気の通り道が残っていたため、屋根全体にわたって5人でウレタン処理を行う対応となりました。
浴室配管まわりの隙間にも追加の処理を行い、補修後のC値は0.68㎠/㎡から0.27㎠/㎡へ改善しています。

この結果は気密性能の改善を示すものであり、断熱欠損の解消を確認したものではありません。
ただ、材料を施工した後も、接続部分まで適切に納まっているかを確認する重要性が分かる事例です。
断熱材の施工状態を目視などで確認するとともに、気密性能は測定で確かめる。
工務店様と確認内容を共有し、手直しできる段階で改善につなげることを、MU設備では大切にしています。
断熱欠損が見つかった場合はどう補修する?
断熱欠損が確認された場合は、場所や範囲、使用されている材料に合わせて補修方法を検討します。
施工中であれば、断熱材を入れ直したり、納まりを修正したりできる場合がありますが、完成後は内装の一部を撤去するなど、周辺の工事が必要になることもあります。
ここで注意したいのが、断熱材だけを追加して終わりにしないことです。
補修のために防湿・気密層へ手を加えた場合は、その部分も適切に復旧しなければなりません。また、必要な通気経路まで塞がないよう、住宅全体の構成を踏まえて対応する必要があります。
補修費用も、確認できる範囲や内装の復旧工事によって変わるため、現場を見ずに一律の金額で判断するのは難しいところ。まずは施工会社に状況を伝え、必要な調査と補修範囲を確認しましょう。
関西で住宅の気密性能を確認するならMU設備へ
MU設備では、大阪府・兵庫県・京都府・奈良県・滋賀県・和歌山県を中心に、中間気密測定・完成後気密測定を行っています。
中間測定ではC値を確認するだけでなく、現場で漏気箇所を探し、改善につながる方法をお伝えします。補修作業は基本的に工務店様側でご対応いただくため、現場の状況を共有しながら進める形です。
確認した漏気箇所や補修後の状態は、説明を添えた写真で共有するとともに、測定結果を試験結果報告書としてお渡ししています。
断熱施工の確認に加え、気密性能も確かめておきたい工務店様や施主様は、測定時期からお気軽にご相談ください。
住宅の隙間量を表すC値は、実際に測定しなければ分かりません。
MU設備では、気密測定と漏気箇所の確認を行い、現場に合わせた改善方法をお伝えします。
確認内容は写真付きで共有し、測定結果は試験結果報告書としてお渡しします。
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まとめ|断熱欠損は、見えなくなる前の確認が大切
断熱欠損を防ぐには、断熱材の性能だけでなく、必要な場所へ適切に施工されているかまで確認することが重要です。
特に、配管や配線のまわり、筋交いの裏側、壁と天井の取り合いなどは、細かな納まりへの配慮が求められます。仕上げ後には直接確認しにくくなるため、施工中の確認と記録を大切にしましょう。
また、断熱欠損と気密欠損は別の問題であり、C値だけで断熱施工の良否を判断することはできません。
断熱は図面と施工状態を確認し、気密は実際の建物で測定する。 それぞれの役割を理解して確認することが、設計で目指した住宅性能を実現するための一歩になります。
住宅の隙間量を表すC値は、実際に測定しなければ分かりません。
MU設備では、気密測定と漏気箇所の確認を行い、現場に合わせた改善方法をお伝えします。
確認内容は写真付きで共有し、測定結果は試験結果報告書としてお渡しします。
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