気密コンセントボックスとは?必要な理由と施工方法、漏気を防ぐポイント
こんにちは!MU設備です。
高気密住宅の施工について調べていると、「気密コンセントボックス」や「防気カバー」という部材を目にすることがあるのではないでしょうか。
一般的なコンセントボックスと見た目が似ているため、「何が違うの?」「すべてのコンセントに必要なの?」と疑問に思う方もいらっしゃると思います。
コンセントを設置する際は、壁の内側にボックスを取り付け、そこへ電気配線を通します。ところが、その位置が住宅の気密層にかかる場合、ボックスや配線のまわりが空気の通り道になることも。
そこで、コンセントまわりの気密処理に使われるのが、気密コンセントボックスや専用の防気カバーです。
ただし、部材を取り付けるだけで気密処理が完了するわけではなく、周囲の防湿気密シートや配線を通す部分まで適切につなぐ必要があります。
そこでこの記事では、気密コンセントボックスの役割や必要となる場所、施工時に確認したいポイントについて解説します。
後半では、MU設備の中間気密測定で電気配線まわりから漏気が見つかった事例もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
★株式会社如月建設様のYouTubeでMU設備の気密測定をご紹介いただきました★
気密コンセントボックスとは?

ではまず気密コンセントボックスとは、何ぞやという点に関してです。
気密コンセントボックスとは、コンセントやスイッチを設ける部分から、壁の中へ空気が出入りするのを抑えるための部材のことです。
製品によって形状や名称は異なり、コンセントボックス自体に気密性を持たせたものもあれば、一般的なボックスの背面を専用の防気カバーで覆うものもありますが、どちらの場合も大切なのは、コンセントの裏側を囲うだけでなく、周囲の防湿気密シートと隙間なく接続し、連続した気密層をつくることです。
一般的なコンセントボックスとの違い
一般的なコンセントボックスは、壁の中で配線器具を固定し、電線や接続部分を保護するために使われます。
一方、気密コンセントボックスや防気カバーには、ボックスの背面や側面を覆い、壁の中を通る空気が室内へ出入りしにくくする役割があります。
| 比較する点 | 一般的なコンセントボックス | 気密コンセントボックス・防気カバー |
|---|---|---|
| 主な役割 | 配線器具の固定と電線の保護 | 配線器具の固定・保護に加え、コンセントまわりの空気移動を抑える |
| 背面・側面 | 開口や配線を通す部分がある | ボックスや専用カバーで周囲を覆う |
| 気密層との接続 | 製品や納まりによって異なる | 防湿気密シートなどと連続させることを前提とした部材がある |
ただし、名称だけで性能を判断することはできません。
使用する部材によって施工方法や適合する配線器具が異なるため、製品の仕様を確認したうえで納まりを決める必要があります。
コンセントまわりから空気が漏れるのはなぜ?
完成した住宅では小さな差し込み口しか見えませんが、コンセントの裏側にはボックスや電気配線があり、その周囲には断熱材や柱、防湿気密シートなどが施工されています。
では、なぜコンセントまわりが漏気箇所になりやすいのでしょうか。
気密層に開口ができるため
防湿気密シートを気密層としている壁へコンセントを設置する場合、配線器具を納めるためにシートを開口する必要がありますが、このとき、シートを切った部分とコンセントボックスの間に隙間が残ると、壁の中と室内をつなぐ経路ができます。
見た目ではプレートに隠れていても、裏側の気密処理ができていなければ空気は移動するため、室内から見える仕上がりだけでは判断できない部分です。
電気配線を通す穴があるため
気密コンセントボックスや防気カバーを使っていても、電気配線を通すための穴は必要です。
配線に対して開口が大きすぎたり、複数の配線を通した部分に隙間が残ったりすると、そこから空気が漏れる可能性があります。
つまり、ボックスの外周だけを処理すればよいのではなく、配線が貫通する部分まで含めて気密層をつなぐことが重要なのです。
小さな隙間でも住宅内に複数存在するため
一つのコンセントまわりに残る隙間は、小さく見えるかもしれません。
しかし、住宅にはコンセントやスイッチが複数設置されるため、同じような隙間が各所に残っていれば、住宅全体の漏気量に影響することがあります。
気密施工では一箇所の大きな隙間だけでなく、小さな隙間が積み重なっていないかを見ることも大切です。
気密コンセントボックスはどこに必要?

「それなら、住宅内のすべてのコンセントを気密仕様にした方がよいのでは?」と思う方もいるでしょう。
ところが、必要性はコンセントの数だけでは決まりません。
確認したいのは、そのコンセントが住宅の気密層を貫く位置にあるかどうかなのです。
外壁側に設けるコンセントやスイッチ
外壁の室内側に防湿気密シートを施工し、そのシートが気密層を兼ねる住宅では、外壁側のコンセントやスイッチを設ける際に気密層を開口することになります。
そのため、ボックスまわりや配線貫通部を適切に処理し、周囲のシートへつなぐ納まりが必要です。
天井や屋根の気密層に関わる配線器具
天井断熱や屋根断熱の住宅では、照明器具や配線を通す位置が気密層にかかる場合がありますが、この場合も考え方は同じで、気密層を貫通する部分に空気の通り道を残さないことがポイント。
ただし、器具の発熱や点検・交換、電気設備としての安全性も関係するため、使用する部材と施工方法を事前に確認しなければなりません。
間仕切り壁では不要とは限らない
室内の間仕切り壁は、一般的には外壁のように住宅の気密境界を構成する部分ではありません。
ただし、壁の内部が床下や小屋裏などへつながっていたり、気密層の納まりが切り替わる場所に接していたりすると、コンセントまわりが空気の移動経路になる可能性があります。
「外壁だから必要」「間仕切り壁だから不要」と一律に決めるのではなく、図面上の気密ラインと壁内のつながりを確認して判断しましょう。
気密コンセントボックスの基本的な施工方法

ここからは、気密コンセントボックスや防気カバーを使う場合の基本的な考え方を見ていきましょう。
実際の施工方法は製品や断熱・気密仕様によって異なるため、採用する部材の施工要領に従うことが前提です。
また、電気配線に関わる作業は、必要な資格を持つ電気工事業者が行うことを覚えておいてください。
施工位置と気密層のつなぎ方を決める
まず、図面上で気密層の位置を確認し、コンセントボックスをどの材料へ接続するのかを決めます。
防湿気密シートを気密層とする場合は、シートとボックスまたは防気カバーを、気密テープなどで接続できる納まりにしておく必要があるからです。
後から処理しようとしても下地や断熱材が邪魔になり、十分な接着面を確保できないことがあるため、電気工事と断熱・気密工事の順序も事前に共有しておくことが大切ですね。
ボックスの裏側まで断熱材を施工する
コンセントボックスを設置するために断熱材を大きく切り欠くと、その部分だけ断熱材が薄くなったり、隙間が生じたりする可能性があります。
そのため、断熱材をボックスの形状に合わせて施工し、裏側や周囲に断熱欠損をつくらないよう確認します。
気密処理ができていても、断熱材が大きく欠けていれば別の問題が残るため、断熱と気密の両方を確認することがポイントです。
周囲の防湿気密シートと接続する
ボックスや防気カバーを設置したら、周囲の防湿気密シートと隙間なく接続します。
シートを必要以上に大きく切ると処理する範囲が広がるため、部材の形状に合わせて開口し、指定されたテープや接着部材で固定します。
このとき、シートにしわが寄っていたり、テープの接着面にほこりが付着していたりすると、端部が浮くこともあるため注意が必要です。
配線を通す部分の隙間を処理する
最後に確認したいのが、ボックスやカバーへ電気配線を通す部分です。
配線の入口に隙間が残れば、外周をきれいにテープ処理していても気密層は完成しません。製品に用意された配線口を適切に使い、配線の本数や太さに応じて隙間が残っていないか確認します。
複数の配線が束になっている箇所では、線と線の間にも空間ができやすいため、外側だけを覆って終わらないようにしましょう。
MU設備では、住宅全体のC値を測定し、コンセントや配線まわりを含む漏気箇所を確認します。
現場に合わせた改善方法をお伝えし、確認内容は写真付きで共有。
測定結果は試験結果報告書としてお渡しします。
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気密コンセントボックス施工時の注意点

気密用の部材を選んでも、施工後の状態によっては空気の通り道が残ります。
では、どのような点に注意すればよいのでしょうか。
部材を取り付けただけで安心しない
気密コンセントボックスや防気カバーは、コンセントまわりを処理しやすくするための部材です。
しかし、ボックスとシートの境目や配線口が未処理であれば、連続した気密層にはなりません。
部材の有無だけを見るのではなく、どこからどこまでが隙間なくつながっているかを確認することが大切です。
製品に合った部材と施工方法を選ぶ
コンセントやスイッチの種類、ボックスの大きさ、取り付け方法によって、使用できる防気カバーやパッキンは変わります。
適合しない部材を無理に取り付けると、変形や浮きが生じ、期待した性能を発揮できない可能性があるため、製品の組み合わせや施工条件を確認しましょう。
後工程で開けた穴も確認する
防湿気密シートをきれいに施工していても、その後の電気工事で新しい穴を開ければ、気密層が途切れることがあります。
そのため、シートを張った直後だけでなく、配線とボックスの取り付けが終わった段階でも施工状態を確認し、必要な補修が行われているかを見ておくことが重要です。
工種をまたぐ部分だからこそ、誰が施工し、誰が最終確認するのかを現場で共有しておくと、処理の抜けを防ぎやすくなります。
気密測定でコンセントまわりの漏気は分かる?
ここまで読まれた方の中には、「コンセントまわりの処理ができているか、気密測定で確認できるの?」と思う方もいるでしょう。
気密測定では、住宅全体の隙間量をC値として確認できます。また、建物を測定に必要な圧力状態にしたうえでコンセントやスイッチのまわりを調べると、空気の流れを感じたり、器具を使って漏気を確認できたりする場合があります。
ただし、気密測定だけで、壁の中にあるボックスの種類や防湿気密シートとの接続状態まで直接見えるわけではありません。
また、すべての漏気箇所を完全に特定できるとも限らないため、施工写真や目視確認と組み合わせて判断することが大切です。
内装で隠れる前なら改善につなげやすい
コンセントボックスや配線まわりは、石膏ボードや内装材を施工すると見えなくなります。
完成後にコンセントの表側から漏気を感じたとしても、壁の内部にある原因へ簡単に手を入れられるとは限りません。
そこで、気密層の施工と必要な配線工事が終わり、まだ手直しできる段階で中間気密測定を行うと、漏気が見つかった場合に改善へつなげやすくなります。
MU設備の事例をご紹介
MU設備が大阪府の木造2階建て住宅で行った中間気密測定では、電気配線まわりから漏気している箇所を確認しました。

こちらは気密コンセントボックスそのものからの漏気を確認した事例ではありませんが、電気配線が気密層を通る部分に、小さな隙間が残ることがあると分かる事例です。
現場では電気配線のほか、浴室の配管、ダクト、サッシまわりにも漏気があり、それぞれの箇所を補修した結果、C値は0.36㎠/㎡から0.25㎠/㎡へ改善しました。
この数値は複数の漏気箇所を補修した後の結果であり、電気配線まわりだけを処理した効果ではありません。
しかし、見た目では処理できているように見える箇所でも、測定時に建物を負圧にすると、わずかな隙間から空気が入る場合があります。
コンセントボックスの外周や配線口についても、目視だけで判断せず、手直しできる段階で気密性を確認することが大切です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
気密コンセントボックスや防気カバーは、コンセント・スイッチの裏側から空気が出入りするのを抑えるために使われます。
特に、外壁など住宅の気密層を貫く場所へコンセントを設ける場合は、ボックスの外周だけでなく、防湿気密シートとの接続や配線口まで処理し、気密層を連続させることが重要です。
また、専用部材が取り付けられていても、それだけで施工状態を判断することはできません。
断熱材がボックスの裏側まで施工されているか、後工程で開けた穴が補修されているかについても、内装で隠れる前に確認しておきましょう。
MU設備では、大阪府・兵庫県・京都府・奈良県・滋賀県・和歌山県を中心に、住宅の中間気密測定・完成後気密測定を行っています。
中間測定ではC値を測定するだけでなく、現場でコンセントや配線まわりを含む漏気箇所を確認し、状況に合わせた改善方法をお伝えします。
補修作業は基本的に工務店様側でご対応いただき、確認した漏気箇所や補修後の状態は、説明を添えた写真で共有する流れです。
測定結果は試験結果報告書としてお渡ししますので、社内での施工確認や施主様へのご説明にもお役立てください。
MU設備では、住宅全体のC値を測定し、コンセントや配線まわりを含む漏気箇所を確認します。
現場に合わせた改善方法をお伝えし、確認内容は写真付きで共有。
測定結果は試験結果報告書としてお渡しします。
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